いかなご くぎ煮のお話。

こんにちは。

早春を通り越し、
春真っ只中の陽気が続いてますね。
しばらくはこの様な天候が続くようですが、
また少し1週間後くらいから寒くあるようですね。
さすがにこのまま続くと来月には夏になりそうですからね。

暖かい陽気と共に続くと思われたイカナゴ漁は、
予想に反しトーンダウン。
今週は潮が小さく、その影響もあるようです。
イカナゴと潮の関係はこちらをご覧ください→クリック

そんなイカナゴの話を少し。
今日はくぎ煮について。

よく小魚の佃煮全般を『くぎ煮』と思われてる方が多いのですが、
正式にはイカナゴの佃煮のみを『くぎ煮』と呼びます。

では何故、イカナゴだけ特別な呼び方があるのか。
イカナゴは体が細長く、口は長く尖っています。
そして、小粒なものが好まれるチリメンの佃煮とは逆に、
やや大ぶりになりつつあるものが好まれます。

そんな事から、出来上がった姿がまるで錆びた釘の様に見えることから、
『くぎ煮』と呼ばれています。

また本場瀬戸内、特に播州では一般家庭でくぎ煮を炊くのが常識。
普通の一般家庭で数十キロのくぎ煮を炊くのです。
そして、各家庭が独自のレシピで炊き上げられたくぎ煮は、
その土地の文化となり、そこから全国の家族、親戚、友人へと、
配られるのです。
その地域ではくぎ煮専用のゆうパック料金が有る位なんです。

そんなくぎ煮を山利でも、
独自のレシピと厳選した原料で炊き上げています。

また、全国にこれほどまでにくぎ煮が広まったのは、
阪神淡路大震災がきっかえとも言われています。

当時、1月に被災し仮設住宅で迎える初めての春。
辛い生活の中、主婦野方たちがいつものようにと仮設住宅でくぎ煮を炊き始め、
ボランティアでお世話になった方々にと全国に発送されました。
そして、その味は全国へと広がったのです。
また、地元の若い世代にも同じコミュニティで生活する中で、
この文化を知り、学び、多くの人からの喜びを受け、
その味は受け継がれる事となったのです。

炊いている香だけでご飯が食べれるほどの、
味わい深いこのくぎ煮。
次に味わう際は、
この様なくぎ煮物語を思い浮かべながら味わってみてください。